2007年07月20日

「滋賀県のサッカースタジアム」セミナー

滋賀県サッカー協会が主催する「滋賀県のサッカースタジアム」セミナーに参加した。
これは5月に開かれた「滋賀県のサッカー文化を語り合う会」に続くもので、講師はJFL佐川急便SCのゼネラルマネージャー、伊藤庸夫氏
イギリスに24年間滞在し、スタジアムの設計などにも多く関わった人物。 2002年の日韓W杯開催スタジアムでは、札幌ドーム埼玉スタジアム2002東北電力ビッグスワン静岡エコパ九石ドームに関わり、その他にも味の素スタジアムフクダ電子アリーナの建設にも意見している。
国内外のサッカー施設に関する知識はかなり豊富であると見受けた。
私は前回のセミナーには申し込んだものの、都合により参加できなかったので、今回が初参加となる。

参加者は約20名。 サッカーに関わる様々な業種の方が参加されていた。(後述)
余談だが、出席者の名札にはBBCびわ湖放送の牧田アナウンサーのものもあったが、残念ながら今日は欠席された。


※セミナーはとても内容の濃いものだったのでごくごく簡単にだけ紹介します。

前回のセミナーでは広くサッカーを地域に根付かせるための施策などをディスカッションしたようで、その中のひとつのテーマ、「サッカースタジアム」について採り上げ、より細かく討論しようというのが今回のセミナーの趣旨。
誤解されては困るのが、このセミナーは具体的に滋賀にサッカースタジアムを建設することを前提としたものではない。 討論するからには滋賀にすばらしいサッカースタジアムが欲しいというところに行きつくのだが、あくまで現段階では“夢”の話である。
現在のスタジアム基準や、文化、財政、アクセスなど、こまかな要素を踏まえて、どんなサッカースタジアムが建設できるか。 絵に書いた餅でもいいので、会でまとまった意見をスタジアムとして形作ってみよう(図なり、模型なりで)というもの。
私は子供がおもちゃのブロックで城を作るのと同じような事を、少し現実的な視点からやってみようという感じだと解釈した。

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今日は伊藤氏の講義が90分、その後参加者による立食懇談会が1時間程度という時間割で行なわれた。
伊藤氏の意見をかいつまんで紹介する。(私なりの要約なので、実際と少し異なる点があるかもしれません)

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開口一番、伊藤氏が見た滋賀のスタジアムの印象をこう言い放った。
皇子山陸上競技場」、「彦根市総合運動競技場」とも、もはや遺跡であると。

滋賀はサッカーに関わらずスポーツ全体に疎い県。
滋賀だけでなく、日本にはスポーツ施設の概念というのがまったくない。
2002年W杯のスタジアムですら、すでに過去のものである。
滋賀の場合、(皇子山や彦根を)改修するより、新設した方がよい。
 ・・・その場合、“生きたスタジアム”を作るべきだ。
そそて最も肝心であり、基本中の基本としてとらえなければならないことは、陸上競技場はサッカー場ではない!ということ。

新にFIFAが定めるサッカー場(ピッチおよびその周辺)のコンセプトデザインと、日本陸連が定義する競技場のそれとはどう努力しても共成できないものである。
FIFA新基準に照らし合わせて、国際試合で使用可能なスタジアムといえば、日本では埼玉スタジアム、トヨタスタジアムとホームズスタジアム(神戸ウイング)しかない。
つまり、サッカー専用(球技専用)でなければならないということだ。


次に、スタジアムの建設・運営について。
日本でほとんどの競技施設が官製。
イギリスではほぼ全てのサッカー場が私有(民間)施設。
ドイツでは民間施設と官製物が半々。
イタリアでは官製がほとんど。

私有施設の運営はもちろん、民間が行なう。
イタリアの場合は建設は公が行なうが、その後の運営は民間が行なっており、施設の改造など有効かつ効率的な利用が可能。
ドイツの官製施設は、使用環境を的確に分析し、最適なスタジアム造りと運営を行なっている。
それに比べ日本はまず箱物ありきで造って終りであること。、運営は決められた年間予算に従って通り一遍なことしかできない。
第三セクターなるよく分からない存在が非効率的な運営をおこなっているところもある。

また、建設に至るまでの過程も日本は効率が悪い。
設計、建設それぞれが入札制で別々の企業が行なう。設計会社と建設施工会社で、コンセプトの共有ができないという決定的な欠陥が生まれる。

例を挙げると、埼玉スタジアムは、設計を受け持ったところは一度もサッカー場を手がけたことがない企業だった。
施行業者(鹿島建設)はサッカー場建設のノウハウももち、自ら設計もできるが、すでに出来上がった設計図どおりのものしか作れない。
埼玉の場合は行政もサッカーに理解があったため、鹿島による多少の手直しも許可したらしいが、それでは設計会社の顔が立たない・・・など、いろいろなジレンマが絡み合い、なおかつ手間も金も余計にかかった(総工費350億円)ということがあった。
現に、埼玉スタジアムのメインスタンドとバックスタンドの屋根の高さが意味もなく違いその趣旨が理解に苦しむ設計になっているとのこと。
(私も埼玉スタジアムには行ったことがあるがそこまでは気付かなかった)
 九州石油ドーム(大分ビッグアイ)は、設計・施行を一括で入札して250億円作られた。(竹中工務店)
そのためコンセプトにブレがなく、費用も抑えられる。
 サッカーファンの間ではかなり評判のよい「鳥栖スタジアム」は、設計から完成後のフォローアップまでを一社が行なっている。
さらにその企業は非ゼネコンのエンジニアリング会社とのこと。
入札においてゼネコンの手がかかっていないため(というとゼネコンに対して失礼であるが)、総工費80億円という安価でできている。
ちなみに、80億円というと初期のカシマスタジアムもそのくらいの値段だったと記憶している。
日本の場合、2万人規模のスタジアムをつくるのに、120億円程度必要となる。
イギリスなら同規模のスタジアムで、全席個別座席、屋根で覆われて40〜60億円程度でできるらしい。(イギリスには地震がないので条件が違うが)

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その他、多くの事例やケーススタディを紹介していただいた。
今回はまず事例とともに、様々な制約を問題事項として採り上げ終了。
 アクセス面などの課題は次回のセミナーで掘り下げることになる。


ちなみに、講義の中で話されていたが、佐川SCのホームグラウンドのひとつである皇子山陸上競技場は、来年日本陸連第一種競技場の指定をうけるために改修をするらしく、佐川のホームゲームは行なえないとのこと。
代替会場を探しているが、現時点で候補に挙がるのは彦根総合競技場のみで、そこも皇子山以下の施設であるため、開催を決定するまでには至っていないらしい。


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講義後の立食懇談会では出席者との簡単な意見交換を行なった。
ほとんどの参加者が前回のセミナーにも参加しており、かなり打ち解けた感じだった。(初参加の私は少し戸惑い、全員に挨拶できなかったことが心残り)
参加者は、滋賀県サッカー協会の関係者、審判、各市町村のサッカー協会関係者にはじまり、
新聞記者やエルゴラッソのスポーツライター、設計士、佐川急便SCの運営スタッフなど、多種多様な方で、それぞれプライベートとして参加されている。(記者の方も取材は一切なしで講義をうけるのみ)

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その中で、佐川急便SCの運営スタッフの方とお話をすることができたが、かなり興味深いものだった。
まず、セミナー中伊藤講師もおっしゃってたが、佐川SCスタッフが必ずといっていいほど受ける質問があるという。
それが・・・「佐川SCはJに昇がる意志はあるのですか?」というもの。
現に私も同じ質問をしてしまった。
 返答は・・・明確なものではないが、しっかりと「J入り」を見据えているということはないとのこと。

しかし、滋賀に移転するにあたって、「地域に受け入れられるサッカークラブにしよう」という高い意識をもっており、観客誘致や地域貢献活動などは積極的に行なっているとのこと。
スタジアムでも観客サービスの充実を肌で感じるが、それがこの意識の現れだそうだ。(その活動を目の当たりにするからこそ、私達は佐川のJ昇格を推測したりしてしまうのだろう)
サッカーを通したスポーツ文化の定着、発展を常に考えており、広報などにあたる専属スタッフもいるとのこと。
詳細を書くとまとめきれないので割愛するが、クラブ運営の理念はとてもすばらしいものだった。
 あくまで佐川急便SCは、一企業のサッカー部にすぎないがそのブレのない理念に感銘をうけたのはいうまでもない。
できればその意識をもってJリーグ参入を決断してくれれば、失敗するようなことはないと思うのだが・・・

…そこで、先の「サッカースタジアム構想」に繋がるわけだ。
伊藤講師も「J入りするもしないも、スタジアムがないんだから表明するわけがない!」とおっしゃっていたので、滋賀のサッカー文化発展のために、ぜひとも2万人規模の球技専用スタジアムを実現させたい。
サッカーファンなら誰しもそう思うだろう。


次回のセミナーは8月2日(木)、19時からビッグレイクにて行なわれる。
今回の続きとなるので、多少理解が遅れる部分もあるかもしれないが、現実を見据えた上で夢を形にする第一歩を踏み出すには最高の機会なので、ぜひ参加してみてください。(まだ参加可能だと思われます)
 セミナー後の懇談会もたいへん有意義です。その場でしか話せない話もありますから・・・
(飲み物と軽食があるので講義とあわせて\500の元はじゅうぶんとれますよ)

posted by Many at 01:07| 滋賀 ☀| Comment(2) | TrackBack(4) | サッカー全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
22日のビッグレイクにおける
FCMi-OびわこVSバンディオンセ神戸の観戦記を待ってます。ファウルの多いゲームはいただけない。
実力NO1にもなろうとしているチームがリーグでも警告数で多い方なのはいかがなものか。
見ていても不愉快になります。
Posted by K at 2007年07月24日 11:51
Kさん
確かに厳しいファウルの多い試合になってしまいました。
思いどおりにいかないゲーム展開から選手のイライラも頂点に達していたのでしょう。
しかし大半は審判によってコントロールされるべきものでした。 それが出来ない審判レベルというのもまた、下位カテゴリーの課題のひとつでしょう。
(倒れたバンディの選手を無理やり引き起こしたMi-O選手の行為などは容赦なく弾劾されるべきですが)

加えて・・・私のレポートなどあまりアテにならないものですので、ご期待に沿えないものかと思います。
こんなブログでもご愛読いただいていることに感謝いたします。
Posted by Many。 at 2007年07月25日 02:35
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